国立新美術館『ルノワール展』
「絵は見るものじゃない。一緒に生きるものさ」
印象派の画家として有名なルノワールの残した言葉です。
そんなルノワールの展覧会が4月27日から国立新美術館で開催されます✨
初来日となる最高傑作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」をはじめ、オルセー美術館をオランジェリー美術館の双方からルノワールの作品が集まります。
生涯を通じての代表作を一望すれば、ルノワールという画家の人生を感じて、今まで知らなかった“ルノワール”に出会えるのかもしれません。
やはり、ルノワールといえば印象派の画家というイメージが強いかもしれません。しかし、画家として活動していた約60年のうち、厳密に印象派として作品を描いていたのは長く見積もっても15年ほどだったとか。では、残りの45年は……?
実は、ルノワールには印象派だけではない、別の展開がありました。印象派として画家のスタートを切ったルノワールは、40歳くらいの時に、このまま印象派を続けていても袋小路に入ってしまい、その先には行くことができないのだと葛藤します。
そんな彼を、次の展開へと導いたのがイタリア旅行で出会った「ラファエロのフレスコ画」や「ポンペイの遺跡」でした。過去の偉大な芸術に触れることで、古くから脈々と受け継がれてきた伝統の力を再認識して、印象派のように光をとらえるだけではなく、モノの形をはっきりとした輪郭線でとらえる方向へシフトしてゆきます。
こうして、印象派で培ってきた“明るい光”という要素は残したまま、はっきりとした形で描くという表現を見いだすことができました。
それ以前の作品と見比べてゆくとその違いがよく分かります✨
また、ルノワールの作品は、全体を通して幸福感に満ちています。
しかし、客観的に見て、ルノワール自身が幸せな人生を送ってきたかというと、そういうわけでもありませんでした。悲しいとき、辛いとき、それでも彼は明るい絵を描きます。
例えば、「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」の舞台となったモンマルトルは、実際にはこんなに楽しいばかりの世界が広がっていたわけではありませんでした。目の逸らしたくなるような、そんな現実も同時に存在していたのです。
それでも、ルノワールは、現実の暗さよりも、明るい側面に目がいく人であり、あえて人生の楽しい部分を切り取り、幸福な絵を届け、残したいと思っていたのではないでしょうか?
そんな背景も知ればいっそう夢中になれるルノワールの世界✨
本展は4月27日-8月22日まで国立新美術館にて開催されます♪
4月20日発行の「FLYING POSTMAN PRESS」関東版でもさらなるルノワールの魅力を掲載しているのでお見逃しなく🌟