©winkey Co.,Ltd.All rights reserved

ART BOOKMARK アートブックマーク

ARTをもっと楽しく

美術展・展覧会情報
  • Twitter B&W
  • Instagram B&W
 FOLLOW me
  • Black Twitter Icon
  • Black Instagram Icon
 RECENT POSTS: 
Please reload

★report★上野の森美術館「ゴッホ展」

November 28, 2019

 

 

 

 

現在、上野の森美術館で開催されている「ゴッホ展」に行ってきました。

人々を魅了し続ける画家、フィンセント・ファン・ゴッホの作品が10カ国・27か所から集められている展覧会です。

 

 

「ゴッホ」と聞くと、個性的で唯一無二の力強い画風と合わせて、そのセンセーショナルな人生を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

同じ画家仲間であるポール・ゴーギャンとのアルルでの生活がわずか3ヶ月で破綻し、自身の耳を切り落とした事件や、精神的に病んだことによる入院生活など、かなり強い印象があると思います。

 

しかし、この「ゴッホ展」を見ると、そうしたセンセーショナルな部分はすっと溶けて「あぁ、ゴッホっていい画家だったんだな」とシンプルに感じることができ、大いに心を動かされました。

というのも、本展がゴッホの作風に大きな影響を与えた「ハーグ派」「印象派」という2つの出会いを軸に、画家、ファン・ゴッホがどのように生まれていったのかをじっくりと丁寧にみせてくれているからです。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

第一部のハーグ派の章では、ファン・ゴッホの作品だけでなく、彼が影響を受けたハーグ派の画家たちの作品も並びます。

素朴な田園風景や、農民の姿を穏やかな中間色で描くハーグ派。その作品にファン・ゴッホがどれだけ心動かされ、画家たちから多くを学ぼうとしたのかが、一緒に掲示されている手紙の一節からも読み取ることができます。

暗い室内に浮かび上がる、台の上に置かれた、たくさんの洋梨が入った器を描いた作品では、ゴッホの“しぶとさ”、“こだわりの強さ”を感じました。《ジャガイモを食べる人々》からもそうした強さを感じます。

作品や手紙からは、どこまでを芸術を思い求める根気と真面目さ、芸術に対する崇高で、あまりに素直な想いがひしひしと伝わってきました。

 

 

《器と洋梨のある静物》フィンセント・ファン・ゴッホ  1885年 油彩、カンヴァス

ユトレヒト中央美術館 © Centraal Museum, Utrecht/Ernst Moritz

 

 

 

 

第二部の印象派の章。

第一部から、コツコツとゴッホが歩んできた道のりに沿って展示を見ていく中でこの二部に入るのですが、まるで地道な登山をしてきてある時、パッと視界が開けたような感覚になる作品があります。

それが《花瓶の花》です。それまではハーグ派に影響を受けた中間色の作品でしたが、この作品では、ゴッホが色彩を使いこなそうと必死に努力をして、カラフルな色が1つの画面に収まっています。展示会場では、ここから一気に、多くの人が知っているいわゆる“ゴッホの作品”が続いていきました。

色鮮やかで筆使いもより力強く、迷いのないものになっていきます。

 

 

展覧会を進んでいくにつれて、ゴッホがどれだけ勤勉であるか、そしてどれだけ試行錯誤と努力を重ねて、揺るぎない画家、ファン・ゴッホを築き上げていったのかがわかっていきます。

 

 

そして最後の展示部屋では、展覧会のメインビジュアルにもなっている《糸杉》の作品を見ることができます。

これには胸を打たれました。

糸杉に魅了されたゴッホの手紙にはこう書かれています。

 

 

「その輪郭や比率などはエジプトのオベリスクのように美しい。それに緑色の素晴らしさは格別だ」(1889.6.25 テオへの手紙より)

 

 

ゴッホが心動かされたその美しさが、そのまま作品になってそこに居る、という感じです。

これだけ感動させられたのは、作品がもともと持つ力によるものであることはもちろん、この展覧会の構成による影響も大きいと思います。

 

 

《糸杉》 フィンセント・ファン・ゴッホ 1889年6月、サン=レミ 油彩・カンヴァス

 メトロポリタン美術館 Image copyright © The Metropolitan Museum of Art.  Image source: Art Resource. NY

 

 

 

一番最後の展示作品は《オリーヴを摘む人々》でした。

夕日に染まる農園で、人々がオリーヴの木からその実を採っている風景です。空はオレンジ・赤・ライムグリーンに染まり、青い影と緑を基調に、地面とオリーヴの木々・人々が描かれています。作品と一緒に掲示されている手紙の一節にはこのようにありました。

 

 

「ブロンズがかった葉の緑色がより熟した色調になると、空はまばゆく輝き、緑とオレンジの縞模様が現れるのです」(1890.5.20 友人ヨゼフ・イサークソンへの手紙より)

 

 

この手紙と絵から、ゴッホにはこの風景がどんなに輝いて見えたのだろうと想像しました。同じ風景を見たとしても、私にはこんなに輝く色は見えなかったと思います。それだけ、ファン・ゴッホには世界が美しく、色鮮やかな芸術であふれていたのだろうと思います。

精神的に病んで自殺によってその生涯を閉じたゴッホの最晩年の作品ですが、その作品からは、美しい世界・理想とする芸術に想いを募らせる、まるで少年のような純粋な画家の息吹を感じることができました。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

これまで数多くのゴッホ展が開催され、何度もご覧になったとう方も多いと思いますが、この「ゴッホ展」でしか見ること・感じることのできないゴッホが必ずあると思います。

年末年始のイベントシーズンにオススメの展覧会、まだご覧になっていない方はぜひ。 

また、1月25日からは巡回・兵庫展も開催されますので、こちらもチェック!

 

 

 

 

 

ゴッホ展

 

【東京展】

会期:〜2020年1月13日(月・祝)

会場:上野の森美術館

開館時間:9:30~17:00

          (金曜、土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)

休館日:12月31日(火)、1月1日(水・祝)

 

 

【兵庫展】

会期:2020年1月25日(土)〜 3月29日(日)

会場:兵庫県立美術館

開館時間:10:00~18:00

          (金曜、土曜は20:00まで、入場は閉館の30分前まで)

休館日:月曜日(ただし、祝休日の場合は開館し、翌火曜日休館)

 

 

Please reload